小林克久さんは、毎年一年で一番寒いこの時期に個展をしていただいています。
昨年は、個展をおえてほっとするのもつかの間、あの震災を目の当たりにし、あらためていつもの場所にいつものモノがあることの大切さありがたさをこの一年間日々感じながらひたすら制作に没頭して来たそうです。
「使い、仕舞い、また使う。
そんないつもの当たり前の作品を作ってみたいなと。」
そんな小林さんの日々の活動ブログ
「Gakubuti Diary」もぜひご覧になってください。
とはいえ、いつもながらそのストイックな作品には心魅かれるものばかりですが、今回私ゼットマスターが特にプッシュしたい作品を紹介します。
まずは、これ。
岩手の古椀に「
正法(しょうぼう)寺椀」という名椀があります。
正法寺は、曹洞宗の東北地方の中心寺院として日本一の茅葺き屋根の本堂があることでも有名なお寺です。
その寺でもともと自分たちが使う食器を作らせていたのが始まりとされ、その黒漆塗りの椀がわずかに現存する名高いものです。
高台がなく、底が少しすぼまった形が特徴的で、ケヤキを木地に使った無地の黒椀で、入れ子椀になっています。
小林さんも以前からこの「正法寺椀」をリスペクトしてそのデザインを参考に作ってみたかったもののひとつだったとか。
山桜を使い、つや消しの漆仕上げで、中と外の仕上げに変化を付けて小林流に肉付けされています。
今回実際に作ってみてわかったこと…手にしっかりホールドして安定感は抜群!使いやすさを追求するとこうなったということでしょうか。
確かにこれ、木目といい、漆の乗り具合といい、持った感じといい、禅寺と小林さんとのイメージといい、ちょっと今回私としては一番のおススメなんです!本当にすばらしい物を作ってくれました。
欲しい数だけそろわなくても注文可能です(以下の作品も同)ので、ぜひお気軽におたずねくださいませ。
ところで今回の個展では、漆塗りの作品数が、オイルフィニッシュを凌いでいます。
冬の寒さで、漆塗りは大変きつい作業だったそうですが、
特につや消しの漆はムラが出る場合もあって、塗り直したものもあったとか。
次は、このお盆なんですが、
これはブラックチェリーの木の丸太の根っこに近い部分をくりぬいていったみたいですが、相当固い部分なんだそうで、深みのある端正でシンプルな作品に仕上がっています。
今回ゲストの方々にも大変人気の高い作品のひとつです。
オーバルボックスにも新顔がお目見えしていますよ!
取っ手付き蓋付きのもの。
取っ手は、銅のリベットの絶妙な締め具合でスムーズな可動式になっているのがうれしい。
そしてこの取っ手なんですが、断面がなだらかなカーブが入っていて、持ったときの感触がとてもやさしいものになっているって、ご存知でした?
こんな見えないところにもひと手間がかかっています。
ぜひ確かめてみてください。
これは撮影上ふたつの作品を縦に重ねてみました。
下側は、超深底の初お目見えのスタイル。これって容量も大きいので、何をいれるか考えるのも楽しいですね。
上段は、「おひつ」なんです。継ぎ目も全部漆でうめているので、防水性は高いようです。
面白いものを考えますね。虎の毛のようなシルバーグレインを持った木目が本当にきれいです。
by マスター
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