18世紀から19世紀にかけてイギリスからアメリカに渡った、シェイカー教団。
ストイックなまでに自給自足の生活をするこの集団は、全てにおいて簡素であることを旨とし、建物から家具、日用品に至るまで、装飾性を避け、機能性を追求した実用的なものを、自らの丁寧な木工仕事によって作り出していきました。
そのスレンダーな構造と細部の仕事の精密さは、現代の人々の心にも共鳴する機能美として洗練されたフォルムを描き出し、その後のデザイン運動にも大きな影響を与えています。
これらの木工品の中でよく知られるのがオーバル型のシェイカーボックスと呼ばれるもの。
スワロウテイルと呼ばれる燕尾形のスライスした木を組み合わせています。
住む家はもちろん、家具から、洋服などの身の回りの物にいたるまで、シェイカー教徒にとっては全て共有財産という制度にあって、唯一例外的に個人財産と認められていた物…それが各人にひとつ持たせられたシェイカーボックスの中に入れた自分だけの大切な物…まさにシェイカーボックスって「宝箱」だったんですね。
そんなシェイカー家具を日頃からリスペクトしつつ歴史を踏まえつつ、日本の風土や木材質に合わせて、今回「オーバルボックス」として小林氏がインスパイアして作った木工品の数々、ぜひ手に取ってご覧いただけるとうれしいです。
実はこの小林氏自身も木工に打ち込むストイックな姿に、シェーカー教徒に通じるところを思うのは私だけではないはず。
今回ご協力いただいた16人の作家さんも、そんな小林さんの真面目な姿に共感しての「たからもの」制作となったのです。
作家さん一人につき、基本一点ないしは二点…一球入魂の新作、実験的力作がぞくぞく出来上がって来てますよ!
ハリソンフォード主演「刑事ジョンブック目撃者」はご覧になったことがありますか。
私も大好きな映画ではありましたが、劇中シェイカー教徒の質素な生活ぶりが良く表現されていたことをおぼえています。
この際もう一度見て本番に臨みたいものです。
by マスター *写真は、本番展示を待つオーバルボックス君たち