
正直、備前焼は好きではありませんでした。
父親が「いいだろう?これは『緋だすき』というんだぞ。」などと
自慢するのを見るにつけ、
この土そのままのような重くて地味な印象の焼き物は
オジサンの枯れた道楽にしか思えませんでした。
華やかな赤絵や洋食器、染め付けの器の方がよほど魅力的でした。
あるとき、友人から「知り合いの備前焼作家の窯出しにいこう。」と誘われました。
その友人もとりたてて備前焼ファンというわけでもなく、なんとなくなりゆきで…。
と、いうのです。
どうしようかなあ、と思っていたらふと、父の顔が浮かびました。
「…あの時の父の年になっている…。」 少し焦りました。
父はこの年で備前焼の魅力を語っていたのに、自分は備前焼をきちんと眺めたことも無い…。
自分の国のやきものなのに…?
その備前焼作家さんの工房は小高い丘の上にありました。
鳥のさえずりや木々を渡る風の音の聞こえる懐かしい風景の中に。
(自分たちで窯を作り、大量の煙の出る備前焼工房は町中には作れないのです)。
そのとき、わかったのです。
ああ、備前焼は私たちの国の豊かな大地のやきものなのだ。ということを。
武骨で、土そのもののようで、地味で、でも力強くて、おおらかで、あたたかくて、優しくて。
それから、家中のうつわがどんどん備前焼に変わって行くのに時間はかかりませんでした。
Z家では毎日備前焼を使っています。
一つ、テーブルに載っているとなんだか安心するのです。
マンションに暮らしていても、
そこにふるさとの土のやさしさを感じることができるからなのかもしれません。
あと2日、残すのみです!
by マスター
今回、備前焼の魅力を教えてくれた
小川壮一さんの経歴を紹介しておきます。
(明和電機と活動したり、つくしと仲良くしてるだけでなく、スゴイ作家さんなんですよ!)
ここで備前焼に目覚めた方、ぜひこれからの壮一さんの活躍を追っかけていってくださいね。
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1971倉敷市に生まれ
1995筑波大学芸術専門学群総合造形コース 卒業
1996伊勢崎 淳氏に弟子入り
2000茶の湯の造形展 入選
2001岡山県美術展覧会 奨励賞
2002日本伝統工芸中国支部展 奨励賞
2003穴窯築窯 独立
2004初窯
2005東京 うつわや 飛天 個展
2006岡山 明日香画廊 個展
2007茶の湯の造形展 入選
神戸 ギャラリーみうら 2人展、 岡山 明日香画廊 個展
2008ウェスティンホテル東京 「花伝」 参加
2009岡山 明日香画廊 個展
ウェスティンホテル東京 「花伝2009」 参加
ハンガリー メルリン国際劇場 「水と生命の祭典」 参加
2010ウェスティンホテル東京 「花伝 ラリック×日本」 参加
横浜 山手西洋館フェスタJUNE 「花と器のハーモニー」 参加
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