
味覚は感覚をつかさどる右脳が認識するとのことです。
料理を作る側もまず直感的に右脳を働かせていかないと、食べる側の右脳のこころを揺さぶるような本当に美味しいものはできないのではないかということを感じている今日この頃。
塩が何グラム、小麦粉が何グラムでといった、レシピ本に載っている手順通りなものを頭に浮かべてデジタル思考で作って行ってては、まっ…こんなものかなという程度にしかならないことも多いのではないでしょうか。
手がける前にまずこんな味になるだろうというイメージがふくらみ、じゃあこっちの手順にしてみて仕上げはこのリキュールを入れてみたらもっと鮮烈な味になるなとか、頭の中で味覚のシュミレーションが出来るのも料理のセンスの要素と思うのです。
でもこんなことを私が言ってもこの感覚、わかってくれる人は少ないかな。
小説「食堂かたつむり」を読んで、原作者小川糸さんという方にすごく共感を持ちました。
料理作りに言葉はいらない、五感を使っていけば良い方なんではないかと。
普段から右脳で料理を作っていないと出て来ない発想なんです!
人物描写とかキャラクターや状況設定の現実味とか、もちろん飲食店としての経営的なこととか、プロの料理人としての厳しさとか、何かリアリティさに欠けるのは、そんなことはどうでも良くて、日頃の自身の料理のことを一番本気で書きたかったんではないでしょうか。
小説に出てくる洋梨のサンドイッチ(ゼットでも以前から似た感じで作っていますよね)、ざくろカレー、紫芋のクレームブリュレ、ラプサンスーチョンの紅茶…このセンス良いですよ。
で、小川糸さんのブログ「
糸通信」にやっぱりご自身の普段の料理作りがこの小説に出て来るのと同じ雰囲気でいっぱいアップされているではありませんか。
想像した通り!これから糸さんのエッセイを読んでみたくなったのでありました。
by マスター