
今や、「
オーバルボックス」といえば、小林克久さんの定番。
今回は、以前から小林さんが制作してきたものがさらに洗練さを増して登場。
その凛とした姿は、ほれぼれするくらいです。
プラス、新作のデザインも加わってそのラインナップの充実さは、この個展を逃したら実際に手に取って見ることは難しいですよ。

初めてこのボックスに出合う方々から「これって、弁当箱ですか?」という質問が一番多いとか。
ならば、弁当箱作ってみましたっ!というのがコレ。
漆塗装により水気がしみ込みにくくなっています。
5回重ねて塗っています(一回乾くのに時間がかかります、特に冬は)。
実は、よーく見ると真ん中に筋があって2段の重箱作りになっているのがわかります。
木目がきれいに繋がっているので、私も最初そんな構造とは思ってもみませんでした。
上下が外れにくいように、マニアックに絶妙の工夫がなされていて、同業の木工作家さんも驚かせているというから凄いですね。

そしてもうひとつの新作は、ミルクペイントを施したもの。
この技法は、アメリカの家具に昔から塗装されていいるもので、牛乳のタンパク質を主原料とした自然素材で耐水性があります。
塗料自体はすごく固くて塗り込むのに手間がかかる上、手触りを良くするために仕上げに水ペーパーで丁寧に磨きを入れる必要があります。
アーリーアメリカンのアンティーク家具ってペンキでペタペタ塗っているだけと思っていたのですが、実はこれが由緒正しきものだったんですね。
古き良きアメリカの香りがして来るようで、これが一番好きかも。

制作途中のものも展示されていたりして、興味は尽きませんね。
本体の底板と上蓋の天板は、実は自分で数ミリの小さな木の釘を作って横から打ちつけています。
これと側板でぎゅっと締め付けることで底などが抜けることはまずないとか。
繊細な部分なんで、よーく見ないと釘の跡はわからないと思います。
今回のオーバルボックスのために、約1000本にも及ぶ釘を作られたそうです。
他にも、木目のきれいなところを取るために、丸太から自分で板を一枚一枚作っていかれています。
聞けば聞くほどにこの小林スタイルは、他と一線を画するようで、作品も気高く品を持っているのはそんなところから来ているのでしょうか。
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今回、展示しております器、カトラリー、蓋物、オーバルボックス、椅子や家具…すべて注文を受け付けます。
何でもお気軽にお尋ねください!
23日(水)は、14時頃から小林さん在廊されていらっしゃいますよ。
by マスター