小さい時に「貝殻は耳にあてると海の音が聞こえるんだよ。」と言われ、
耳にあてた巻貝から潮騒が聞こえてきてほんとうにびっくりした記憶があります。
あれから、巻貝をみるとなんだか、波の音が聞こえてくるような気がするのです。

Zに出現した、巻貝の浜辺。
それぞれに海を内包しているかのようで、眺めているだけで
聞こえない音がきこえてくるようです。
海…あの日以来、私たちの中で「海」は、それ以前とは全く違った意味を持つものになってしまいました。
静かでやさしく穏やかな内海しか知らない私たちには、海は優しい楽しく場所。
そこに打ち寄せられる貝殻たちは、浜辺に咲く花々のようにただ美しいものでした。
でも今は、貝殻は新しく生まれ変わろうとする希望やあきらめないという約束、
忘れえない思い出を内包しているように思えるのです。

ひとつひとつ全て違う貝。
コウブンさんの作る貝の裏には、まるで鍵穴のようなものが刻まれています。

これは、この貝を壁に付けるためのものだったりもするのですが、
この貝の中を開けることのできる鍵穴にも見えてきたりして…。
鍵となるのは、この貝たちを手にした方々の想いなのでしょう。
「わたしの耳は貝の殻 海の響きをなつかしむ」
フランスの詩人ジャン・コクトーの詩です。

こころの中の海の響きを聞きに、
Zの浜辺で貝をひろってみませんか。
-------------------------------------------------------------------
ヨシダコウブン作品展〜こころあるものの…
2011.6.15(水)〜26(日)月・火は定休日
am11:00〜pm7:00 最終日はpm6:00まで
-------------------------------------------------------------------
←岡山でカフェとギャラリーしてます、クリックよろしくお願いします。