今回の印象は「風」。
海風をうけて上陸したら、風のように舞うダンスのお出迎えが。
どこからともなく聞こえてくる風鈴の音に導かれると、犬島時間の中心地「旧郵便局」へ。
お向かいの「白い家」ではその風鈴たちが懐かしい音楽を奏でています。
それぞれの展示会場の開け放たれた窓からは、柔らかく吹く風が、作品を光を影を揺らします。
まさに犬島は春爛漫。
狂おしいくらいに咲き乱れる花々の生命力は、植物というより「生き物」を感じさせるくらい暴力的。
普段ほとんど「地面」を見ない生活をし、飼いならされた自然にしか触れていない私たちにとっては怖いくらいです。
その木々や花のざわめきや、ひばりの声が風とともに流れている。
まさに犬島自体が奏でる音楽がそこにはありました。ここにイヤホンは不要です。
その「犬島時間に吹く風」は、11年目を迎えて、新しい次の「犬島時間」が始まった予感を運んでくるようです。
島と現代アートの対比に非日常を感じさせられた当初から、回を重ねるごとに犬島の大地や植物や島の人々の思いの中にどんどん溶け合っていく「犬島時間」へ。
…「犬島時間」、ほんとにそうだなあ。ここにしかない時間が流れている。
うまいタイトルをつけたもんだと、11年目の今回、心の底から納得です。
あと2日。ぜひ、歩いてみてください。