スペインからあのセニョールが再びZにやってきてくださいます!
前回「Zが美術館になった!?」と圧巻のインスタレーションを見せてくださった
山口敏郎さん。今回は日本初公開の作品もやってくるとか。期待大です。
海外で活躍されているアーティストってどんな方なんだろう…とドキドキしてしまいますが、素顔はとっても気さくでチャーミングなラテン系のセニュール。
アートを志す方も、海外のアート事情を知りたい方も、そしてスペインに今日身のある方も…ぜひお越しください。
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山口敏郎展】2017年4月5日(水)〜4月16日(日)
AM11:00〜PM7:00 最終日はPM6:00まで
山口氏からcafeZにお越しのみなさまへの贈り物がありますよ!
●ギャラリートーク「ピカソと私」
来る4月9日(日)の16:00〜17:30(今週末!)
参加費:無料
要予約:cafeZ 086-263-8988 まで前回はアートだけでなくスペインのバルやワインの話まで、幅広く語ってくださった山口さん。その気さくな語り口に魅了される方多数。
今回はどんなお話が聞けるんでしょうか?
この貴重な機会をお見逃しなく。お待ちしております!
画像は前回の様子。(ノリノリで時間超過してしまいました…)
1956年 岡山生まれ。武蔵野美術大学卒。
1982年 マドリッドに移住。
2006年「ESPACIO TAO」を立ち上げ日本とスペインの交流を仕掛ける。
龍野アートプロジェクト(兵庫県)、
太宰府天満宮国際アートシンポジウム(福岡県)、
興福寺国際現代美術展(長崎県)、
丸五ファクトリーアートプロジェクト(岡山県)などに参画。
2014年 瀬戸内市立美術館(岡山県)で「海外活躍作家シリーズ‐山口敏郎展」が開催される。
同年に倉敷美観地区にオープンした廣榮堂倉敷雄鶏店「刻の美術館」に常設展示。
スペインを中心にヨーロッパ各国で展覧会開催及びアートフェアに参加。
「命の花」〜山口敏郎:作品展告知フライヤーより
「旅は自分の持っていたものを持ち帰る。」と言われるとおり、私も西洋にあり東洋に出会った。
明治維新とともに印象派絵画は黒田清輝によってフランスからもたらされ、それをベースに後進の安井曽太郎によって日本の美術学校教育およびアカデミズムの在り方が決定された。
そこでは印象派以前も、キュービズムを含め後期印象派以降の流れも不在であった。
私も少年の頃、ゴッホ、セザンヌに憧れ、美大では西洋的デッサンを金科玉条のように土台に据えた美術教育の洗礼を受けた。
その後疑問をもった私は、1982年に、印象派以前の西洋絵画を研究するためスペインに渡った。古典技法の習得に約5年間、プラド美術館に通い模写を続け、かたわらアルタミラの洞窟絵画から現代まで続く美術の歴史を検証し直してみた。
結果「古典の歴史は前衛の歴史である。」という結論に至り、コンテンポラリー・アートに足を踏み入れていくことになる。
その後、色々な国で展覧会を開催し、多くの人たちと交流する中で、どうしても自分が生まれ育った東洋と現在人生の半分以上過ごしている西洋との文化の違いに突き当たってきた。
それが同時にコピーの寄せ集めではなく本当のオリジナリティーにどの様にしてたどり着けるのか、創造性の発露はどこに求めるのかを真剣に考え始める契機になった。
また最近ではこの西洋と東洋の対立地平線の問題は新しい視野を広げてくれている。
ルネッサンス以降、西洋の絵画は科学の一部として発達してきている。
それは三次元の世界を二次元の平面に置き換えるという目的があり、如何に自然を分析しコントロールするかが主題であった。
そのためランダムな要素は極力排除された。
一方、東洋では絵を描くことは自然と一体となることであった。あえてコントロールしにくいランダムな効果が生まれる筆や滲む墨と紙を使う。それは描く時の心の動きが鏡のように紙の上に写しだされるからだろう。
描くこと自体が、心を反映させて自然と遊ぶ経験であり、自然そのものとの共生体験であった。
言葉をかえれば、描くことは心の所在を確かめる方法、つまり「内観」であった。
1950年代にアメリカでポロックたちの登場とともに現代美術の幕が開く。
ポロックはアメリカン・インディアンの「砂絵」を通して西洋美術の歴史への東洋の「内観」というコンセプトとを導入しようとした。
しかしそれが正当に理解され美術史に受け入れられたのか疑問である。
また仏教の無常観からくる「はかなさ」および「空」の観念もそれまでの西洋美術が目指してきた「恒常性」という確固とした目的性を揺るがすものとして対峙する。
現在、東洋と西洋がクロスオーバーして、一見融合しているように思われるが実際この二つの壁を乗り越えるのは容易でない。
凡人の私はやっとそれに気付くだけで30年掛かったと言えよう。
西洋から東洋へと関心が広がっていく自分の心の変遷を「花」に重ね合わせてみた。